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土地の分筆をする場合は、平成16年の法律改正から、分筆後の土地の全部を測量して面積を計算することになっています。

その前までは、分筆後の一部については残地差し引きで計算をしていました。

実は、今でも極めて例外的ですが登記官がすべての土地の筆界を確認できてなおかつ「特別な事情がある場合」はこの残地差し引きで計算が認められることがあります。

今回は、この残地差し引き計算が認められる「特別な事情」とは、どのような場合かを解説します。
東京法務局管轄内の取り扱いですが、全国的にもこれに近い取り扱いになると思います。
動画を参考にその不動産の管轄地域の法務局の登記官と案件ごとに相談していただければと思います。


まずは、残地差し引き計算についてお話しします。
登記の面積が200㎡で、5番1と5番2に分筆する場合は、5番2を測量して面積を計算して150㎡とすると、5番1については、残地差し引き計算で200㎡-150㎡=50㎡と計算します。
これが、残地差し引き計算です。

では、残地差し引き計算ができる「特別な事情」に該当する場合のパターンを紹介します。

これらのパターンは、面積等が数量あるいは割合が明確に定められたものではありません。
あくまで個別の事例ごとに、管轄する法務局と相談が必要です。
その辺は、ご承知ください。

また、「特別な事情」に該当する場合であっても、理由もなく分筆後の土地の残地一筆を額縁状、カミソリ状のように分筆することを認めたものではありません。

また各パターンに該当すると思っても、あくまで案件ごとに、登記官と相談して調整を行う必要があります。
残地分筆は、まずほとんどのケースが認められないと思っていただいたほうがいいです。
私も、平成16年以降で、残地差し引き計算で分筆したケースは1回しかありません。
結構、ハードルが高いと思います。
残置差し引き計算の分筆は、かなりレアなケースですので、ご理解ください。

では、パターン1
広大な土地の僅かな部分を分筆する場合です。
不動産登記実務取扱準則72条2項を要約します。
「分筆の登記を申請する場合は、広大な土地のわずかな部分を分筆する場合などの特別な事情がある場合は、残地差し引き計算でも良い」

ただし、土地の境界を明らかにして、概測はする必要があります。

広大な土地のわずかな部分としか書いていないので極めて、数値的には曖昧です。

登記官によって判断に多少のばらつきはありそうです。
300㎡のうち1㎡くらいの分筆だと、感覚として厳しいのではないか、残地分筆は認められないのではと思います。
数値的なことは言えませんが、かなりハードルは高いと思ってください。


パターン2
地図、
座標値が記載された地積測量図、
国土調査法の地籍調査による地籍図、土地区画整理、土地改良等が行わえている
場合であって面積の誤差が不動産登記規則の誤差の限度内であるときには,残置差し引き計算ができる可能性がある。

一つずつ説明します。
まず地図です。
法務局には公図という地番を配列した図面があります。
その公図には、2つの種類があります。
地図と地図に準ずる図面です。
公図の分類という欄があって、その欄に「地図」又は「地図に準ずる図面」と書かれています。
単純に「地図」は精度が高くて、区画の形状等が現地と一致している図面
「地図に準ずる図面」は、精度は地図ほどは高くなくて、その土地の形状を記した概略図のような扱いです。
この地図が備えられていて面積の誤差が限度内であれば、残置差し引き計算ができる可能性があります。

次に、座標値の記載のある地積測量図です。
法務局の地積測量図は、平成16年以降に作成された図面は、座標値が記載されるようになっています。
平成16年以前の地積測量図は、三斜法といって三角形をつくって求積している図面が多いです。
座標値の記載は任意ですから古い図面であれば、座標値はほとんど記載されていません。
しかし、地積測量図に座標値の記載があって、面積の誤差が限度内であれば、残置差し引き計算ができる可能性があります。

そして、地籍調査による地籍図等です。
国土調査法、土地改良法、土地区画整理法などで測量している場合で、
面積の誤差が限度内であれば、残置差し引き計算ができる可能性があります。

誤差の限度内というのは、
公図に精度区分が書いてある場合ににはその精度区分
書いてない場合には、精度区分表というのがあって、その精度区分で判断するということになります。
市街地地域であれば 甲2
村落農耕地域であれば 乙1
山林原野地域であれが 乙3
までということになります。

地図、座標が記載されている地積測量図、地籍調査の地籍図等の要件が合えば、
残地差し引き計算ができる場合があるということになります。



パターン3
公共事業の土地買収による分筆です。
道路買収などの公共事業に基づく分筆登記が大量に、提出された場合で、
面積の誤差が限度内であれば、残置差し引き計算ができます。


パターン4
境界確認に長期間が必要なとき

公有地に接する土地に接する公有地又は民有地との筆界について,
隣地の所有者、管理者から確認を得るのに長期間を要するときは,

登記官が境界の確認が得られない境界を含む全ての土地の境界について明白に確認できる場合に限り,
残置差し引き計算の分筆ができる可能性があります。


パターン5
隣接の土地の所有者等が行方不明で筆界確認のための立会いを求めらない場合

登記官が境界の確認が得られない境界を含む全ての土地の境界について明白に確認できる場合で、
後日に行方不明であった隣接の土地の所有者等が現れても,確認した筆界の完全な根拠を説明できるときは
残置差し引き計算の分筆ができる可能性があります。


パターン6
隣接の土地の所有者等が正当な理由なく境界確認のための立会いを拒否している場合です。

登記官が境界の確認が得られない境界を含む全ての土地の境界について明白に確認できる場合で、
後日に所有者が立会に応じたとしても,確認した筆界の完全な根拠を説明できるときは
残置差し引き計算の分筆ができる可能性があります。

このパターン6が唯一私の事務所で平成16年以降に、残置差し引きの分筆をしたパターンです。
区画整理を施工していて、区画整理の確定図の通りに境界標が設置してありました。
言わば、すべての境界が明白な状況でした。
当時いた私の補助者が、隣の人を怒らせてしまって、境界立会を拒否されてしまったという事例です。

私の判断で、法務局から立会通知を出してもらおうということで、全筆求積して分筆を申請しました。
私の方で境界立会していませんから、法務局から境界立会を求める通知が所有者さんに発送されます。
そして隣接の所有者さんが、法務局に怒鳴り込んでいくということが起こりました。

そして、法務局の登記官と相談して、残置差し引き計算で分筆しましょうという話になって、分筆登記をした。
これが、ゆいいつ私の事務所で残置差し引き計算で分筆した事例です。

以上振り返ります。

パターン1
広大な土地の僅かな部分を分筆する場合です。

パターン2
地図、座標値が記載さえた地積測量図、地籍調査による地籍図などがある場合であって面積の誤差が限度内であるとき。

パターン3
公共事業の土地買収による分筆です。

パターン4
境界確認に長期間が必要なとき

パターン5
隣接の土地の所有者等が行方不明で筆界確認のための立会いを求めらない場合

パターン6
隣接の土地の所有者等が正当な理由なく境界確認のための立会いを拒否している場合です。

いずれも、すべての境界が明白なときが条件になります。



以上、東京法務局管轄の残地差し引き計算で分筆できる場合の取り扱いを説明しました。

東京法務局管轄内の取り扱いですが、全国的にもこれに近い取り扱いになると思います。

結構、ハードルが高くて残置差し引き計算が認められないケースが多いと思いますけど、
動画を参考にその不動産の管轄地域の法務局と案件ごとに相談していただければと思います。


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2020.03.28 Sat l 表示登記の実務(土地) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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